沈黙が、私を支える。


by aoinote101

かたわれさがし

  「うんっと…どうよ?
  人生に恋愛って?なくても生きられるけど、
  あった方が幸せじゃないのかな?
  たとえ、泣いちゃうような恋でも。
  いや、むしろ泣ける方がいいよ。悪くないよ。

  たとえば
  他の誰かでもいいHなんてしないほうがいいよ。
  それなら一生しないほうがいいよ。
  寂しがって死んでいくほうがかっこよくない?

  誰かを恋しがって死んでいくのは
  人間の本質って気がするんだ。
  確かに人生に関わった家族に
  『ありがとう』って言いながら死んでいくのは
  幸福だけど、
  心の底の方で、誰かを探し続けたまま死んでいくのが
  本質って気がする。」

毅が酔って私に話し始めた。
「じゃあ、あなたを運命の男と信じている私は、
どうやって死んで行けばいいんだよ!」
突っ込みたかったが、笑えないので飲み込んだ。
この男はどんな女を捜し続けているんだろう?
彼の目の前にいる私は、一体何者なのだろう?

その夜酔った毅は、私を抱いた。
少なくとも私には「他の誰かでもいいH」ではなかった。
たぶん私はこれで寂しがって死んでいくことはない。
ただ、毅には二度と会わない。
神様が彼に目隠ししているのが良くわかる。
どんなに近くにいても彼に私は見えないのだ。
一生かけて探し当てる相手は、
私が相手にとってのそれではないことがある。

私が死ぬ時、「巡り会えなかった」と、
泣きながら死ぬのではない。
「巡り会えたことがある」と思い起こしながら泣くのである。
毅の言う悪くない人生なのかもしれない。
でもやはり、
人間の本質を備えた私は、君を恋しがって死んでいきたい。



「私の青いノォト」より
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by aoinote101 | 2005-01-07 00:09 | 詩・雑感